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新海誠監督初の劇場作品『ほしのこえ』感想と考察

紹介するのは、「君の名は。」や「秒速5センチメートル」でも有名な新海誠さんの初の劇場作品である「ほしのこえ」です。

公開は2002年で、音楽や音響以外のほぼ全てを新海誠さん自らで手掛けたという点でも話題になった作品です。

PVはこちらからどうぞ。

www.youtube.com

目次

あらすじ

2039年NASAの調査隊が火星のタルシス台地で異星文明の遺跡を発見し、突然現れた地球外知的生命体タルシアンに全滅させられた。この出来事に衝撃を受けた人類は、遺跡から回収したタルシアンのテクノロジーで、タルシアンの脅威に対抗しようとしていた。
2046年、中学3年生の長峰ミカコと寺尾ノボルは互いにほのかな恋心を抱き、同じ高校への進学を望んでいたが、実はミカコは国連宇宙軍のタルシアン調査隊――リシテア艦隊に選抜されていた。翌2047年、4隻の最新鋭戦艦と1000人以上の選抜メンバーからなるリシテア艦隊は地球を離れ、深宇宙に旅立つ。離れ離れになったミカコとノボルは超長距離メールサービスで連絡を取り合うが、艦隊が地球から遠ざかるにつれて、メールの往復にかかる時間も数日、数週間と開いていく。地球に残ったノボルは、次第に大きくなるミカコとのずれにいらだちをつのらせる。

出典:ほしのこえ - Wikipedia

アニメ好きなら一度は観ておきたい作品

f:id:kstszbh:20171213143716j:plain出典:https://www.cinra.net

劇場作品ながら25分という短いアニメではありますが、非常に濃い内容となっていることに驚きました。新海誠さんらしい、すれ違う男の子と女の子を描いた話です。

この作品で特筆すべきは、セカイ系のストーリーと、デジタルでの制作です。

 

特徴①セカイ系のストーリー

セカイ系についての定義は下記のリンクからどうぞ。

セカイ系とは (セカイケイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

私の場合はざっくりと、95年のエヴァンゲリオンの影響を受けた作品で、主人公とヒロイン(またはその片方)が、世界(自分たちのコミュニティ)を救う話という認識でいます。

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ほしのこえ」も登場人物はたったの二人。中学生の頃に親しかった二人ですが、世界を救うために女性は宇宙へ、いたって普通な男性のほうは高校生への道を歩みます。この中学生のヒロインが世界を救うために戦うというのがいかにもセカイ系な点だと思います。

はじめは気軽にやりとりできていたメールも、艦隊が地球から離れるにつれて、相手に届くまでに何週間、何ヶ月と時間がかかるようになります。

それはまさに地球と宇宙に引き裂かれる二人であり、キャッチコピーの「私たちは、たぶん、宇宙と地上にひきさかれる恋人の、最初の世代だ。」が深く胸に刺さります。

 

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男性を思い続けるヒロインと、ヒロインから気持ちが離れていく男性の対比が非常に切ないですが、面白いところでもあります。

最初は6ヶ月だったものが、1年、そして8年と7ヶ月と、戦いが進むにつれてメールの送信時間も伸びていきます。多感な青春時代にそれほど長い時間、生きて返ってくる保証もない相手を待ち続けることは相当辛い・・・

 

しかも、彼女は一途に連絡をくれる、待ってくれていると思うと、日常生活の中にいる男性がそれを裏切って変化していっていいのか、葛藤に悩まされることは想像に難くないです。

携帯電話でテキストメールが送れるようになったのは90年代後半なので、時代が進んで技術が発展しても、縮まるどころか離れていく2人という描写はなんとも切ない。

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8年と7ヶ月後の24歳になる未来のノボルくんにメールを送る15歳のミカコが悲しすぎます。

「ここにいると」という言葉には、離れていて目には見えなくても、心の中で存在を感じていて欲しいという、寂しさを精一杯隠した悲痛の叫びも聞こえてきます。

 

このような男女のすれ違いというのが、新海誠さんらしさを感じる部分ですね。

(ここまでくると、新海誠さんは過去に一体何があったのかがもはや気になります...)

 

特徴②デジタルでの制作

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日本では90年代の終わりから2000年代初頭にかけて移行していったデジタル制作。当時最先端であったこの制作方式を個人制作で行ったことの影響は大きかったと思います。

 

3DCGでの制作は90年代からすでに行われていましたが、2000年代に入って作成コストが低下しても、専門の制作会社が担うような扱いでした。しかし、新海誠さんは一般人でも手に入るような普及型のスペックのパソコンで、自主制作でCGのアニメ作品を作り上げました。マンパワーを割かずともクオリティの高いアニメが創れるという証明になったのではないでしょうか。

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光やボカシの撮影技術。大胆な構図。リアリティのある背景美術の美しさ。「秒速5センチメートル」や「君の名は。」にも見られるような、新海誠さんらしい見事な演出です。

今となってはおなじみの踏切や長い階段はこのころから用いられていました。

 

個人制作ということで、キャラの作画はいまいちだったり、背景もクオリティのばらつきがあったりしますが、全体的には非常に質が高く面白いアニメだったと思います。

 

アニメ好きはもちろんのこと、「君の名は。」を観て新海誠さんに興味を持った人にもおすすめしたいと思える作品でした。

 

ほしのこえ」は2017年12月31日の18:00まで、dアニメストアで視聴できます。

dアニメストアでは「ほしのこえ」以外にも、新海誠さんの作品では「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」「雲のむこう、約束の場所」「星を追う子ども」も見放題です。

 

特に「ほしのこえ」に限っては、配信期間が今月末までなので、お早めに視聴するのがおすすめです...!

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